真空から。

今は航空学徒、春から数理情報学徒になるひとの備忘録やメモです。

航空宇宙から数理情報に進学する体験談③入試当日:専門科目(数理情報学)

おはこんばんにちは。真空です。今日は久しぶりに熱い日でしたね。こんな日はクーラーの効いた部屋にこもってブログを書いたり本読んだりするのがいいかもしれませんね。

 

今日は8/20(火)におこなわれた数理情報学専攻の専門科目:数理情報学の試験当日の様子を振り返っていきたいと思います。

試験前日

共通数学の試験が終わり、19時くらいまで寝ていた。寝たおかげで何とか気分を切り替えられたので、一昨日までに頭の中で作っておいた専門科目に出る気がするリストの復習をすることにした。予想した内容は

  1. DM分解(某計数民のブログの影響)
  2. 実三重対角行列の固有値問題が分割統治でとけるはなし
  3. FFT
  4. Euclid復号
  5. EMアルゴリズムやGibbs Samplingの導出っぽいやつ
  6. Pfaffianとマッチング
  7. 単体法、特にネットワークシンプレックス法
  8. Cahn–Hilliard方程式の構造保存数値解法

って感じだった。数理情報の院試は毎年ストーリーの異なる問題が出るので、予想を的中させるのは難しいが、その分「どんな問題出るのかな~~」と妄想を膨らませることができるので楽しいといえば楽しいし色んな論文を垣間見したりできるので研究にも役立ちそう。

そのあとは数値解析入門のQR分解とLU分解、LDL分解の項の証明と演習問題を軽くやりなおして、21時くらいに帰宅し就寝。

www.utp.or.jp

試験当日:試験直前

昨日の反省を活かして、ちゃんとよく眠れたと体が判断できた時刻に起きようと思い、7時くらいに起床。ラボに行き、朝食のおにぎりを食べ、好きな音楽を聴きながら適当にいままで読んできた本たちを流し見る。この証明でそうだなーとおもった命題を2つほど証明したらいい感じの時間になったので試験会場に向かう。すでに友人たちが入室していたので、昨日同様ダル絡みしにいく。めっちゃ緊張していたり逆に数理情報学をすべて理解したといわんばかりのひともいて、さまざまな受験勉強の仕方があったんだなあとおもった。そうしているうちに試験監督の方々が入ってきたので着席し、解答用紙3枚*1と問題冊子を受け取り、注意等を聞いたのち試験開始。

試験当日:試験中

とりあえず全問確認してどの問題を選択するか決めることにする。

  • 第一問:工学教程の線形代数Iでみたやつじゃん!(進研ゼミ風)と思い、とりあえず選択しようと思う
  • 第二問:よく出る指数分布じゃん!(進研ry)と思うも、値が小さいときは観測できないというように変形されている。問2までは解けそうだが問3がぱっと見ではよくわからない。保留
  • 第三問:多項式環でた!ヤマ当たった!!と思うも、なんだか2n変数多項式環からn変数有理関数体への凖同型写像を考えていて見たことない感じになっている。問1は簡単そうだが問2でxy-1というイデアルを考え始めている。アティマクの最初の方にのっていたようなイデアルな気がしたが、アティマクを読んでいないので不安になる。初めて出題される分野なので難しくはないのかもしれないが、とりあえず保留。
  • 第四問:半離散近似だし離散フーリエ変換じゃん!数値計算じゃん!!と思い志望分野的にも力入れて勉強した分野的にもこれは解かなアカン、と思ったので解くことにする。
  • 第五問:配列についてのなんかだなあと思う(こなみ)。アルゴリズムとデータ構造から出題されたら離散最適化の問題が出ない限り競技プログラミング勢に敵わないなあと思ったので解くのはよしておこうと前々から思っていた。ので解かないことにした。

以上の観察から1⇒4⇒(2xor3)という風に手を付けていくことにした。

第一問

文字の置き方は忘れたが、簡単に言うと制御で出てくるLyapunov方程式CX+XC=Bの解の存在、および一意性の証明が問1、問2はCXが可換であることとCBが可換であることが同値であることの証明だった(気がする)。工学教程でSylvester方程式を扱ったときはテンソル積の形に直して示していたのでその方針で変形していい感じに問1を示し、問2も対角化したりして丁寧に両方向示す。統計で線形モデルを扱う際にもテンソル積(の基底に関する表現行列)を用いたりしたので、過去問にはなかったけどやっといてよかった~などと思いながら見直し、大丈夫だと確信してから次の問題へ移る。ここまでで45分経過くらい。

第四問

問題の設定は周期境界条件を課した一次元熱方程式を空間に関してのみ離散化したときの解を誘導に乗りながら構成し、離散化してもちゃんと熱方程式の構造を保存すること、すなわち時刻無限大で熱が一様に分布することを確かめる問題。いかにもmto先生の出題なので完璧に解かなければならないというプレッシャーがかかる。問1はu(n,t)=c_n\exp\left(\mathrm{i\pi}\frac{nm}{N}\right)みたいな形を仮定したときの解を求める問題なので簡単。問2はこの偏微分方程式を解けという問題だった。離散フーリエ変換だというのと問1で基準振動解を出したことからとりあえず解をエスパーして構成し、それが解となることと一意性を示そうという方針をたて、解答を書こうとするも係数の調整に謎に時間がかかってしまう。なんとか係数を合わせ、解であることを示したが、今度は一意性の証明が微妙だなあと思うも、初期条件がゼロならODEで考えたらまあそうだよな、みたいなノリで日本語を書いて一意性を示す。ここまで出来たら極限を求める問3は簡単。有限和ありがとうという気持ちになりながら見直しをし、次の問題へ移る。ここまでで2時間経過くらい。ちなみに、あとで同クラに聞いたら三重対角行列の固有値固有ベクトルを問1で求めていることに気づくと離散フーリエ変換であることに気づかなくても自然に解けるらしい。確かに過去の傾向から言ってもそっちの方がよさそう。

 

第二問

第三問と迷ったが、志望教員に代数の先生を書いてないというのが決定打になり第二問の確率を解くという選択をとる。直前は確率統計より代数をやったけど、受験勉強全体で見たら確率の方がやったし、多少はね?

問題の設定は実測値がa以下であるときはすべてaという観測値をとってしまうような指数分布について、問1はその期待値、問2はその期待値がある値(忘れた)になるような\lambdaが一意に存在することの証明で、そこまでは比較的容易であったが、問3でこのような特殊な指数分布の畳み込みの密度関数を求めよ的なことを要求されて困惑する。一般に指数分布の畳み込みはガンマ分布になるが、今回はただの指数分布じゃないから特性関数もよくわからん(わかるがその積を考えたところでなにもわからなそう、というかガンマ分布の特性関数覚えてねえ)という感じで特性関数をつかういつもの手法が使えなさそうなのが痛い。とりあえず順序統計量の分布関数を求めるときのノリで分布関数を求める方針で計算することにする。計算をはじめてはみたものの、積分区間がいつもより汚い形なので全然綺麗にならない。なんとか積分の残らない形で書いたものの和が残ってしまう。汚いものの、計算の方針的には間違っていないはずなのでこれで解いたことにする。問4はこの密度関数が最大値を持ち、それを達成するxが一意であることを示す問題だったが、自分の持ってる問3の答えが汚くて無理じゃね?という気持ちになる。とりあえず微分したらただの多項式を考えればよいだけになることは分かったので、その多項式をいい感じに変形していい感じの日本語を添えて体裁を整えておく。問3の導出をもう一度見直すも、やっぱりわからないのでガバガバのまま問4の解答を終えることにする。

そのあと大問三つ全てを見直すフェーズに入る。記法について何も述べていなかったので一応空いたスペースに記法の説明をしておく。そんなことをしていたら試験終了。お疲れさまでした。

試験終了後

流れで計数の控室にいき、しばらく試験について駄弁り傷をなめあう。そのあとご飯食べに行ったりスマブラしたりしてゆっくりしたのち一時帰宅。口述試験のためにYシャツクリーニング&新調しようと思い上野に行き、その帰りに一人で天気の子を観に行く。とても感動した。

*1:ちなみに解答用紙の大きさは定期試験の時と同じで、解答した番号と受験番号を記載する欄以外は真っ白だった。なので解答が書ききれないということは(裏面も使えるので)ないと思う。まだ自分の得点が届いていないので去年までの噂でしかないが、数学の試験なので当然証明に必要十分な要素はちゃんと記述しないとどんどん減点されていくらしい。なので裏面も積極的に使用できる